「今、ここ、今、ここ…」

 儀礼における正坐ではなく、ゆっくりと腰を据え足を組み、最後に床に坐ったのはいつですか？思い出せないほど長い間、床に「坐る」ことから離れてしまった 方はたくさんいるのではないでしょうか。同じように、自身の「吐く」「吸う」という呼吸を長い間意識したことがない方もたくさんいることでしょう。急いでメイルを書いている時、インターネットの画面を凝視している時、コンピューターゲームに夢中になっている時、そのほとんどの場合、呼吸が不規則に押し留められています。

 日本人にとって「坐禅」は、禅仏教はもちろん武士文化や武道といった「道」を目指す者の精神統一法のイメージがあります。一方、ドイツをはじめその他の西洋諸国では、ヨガの人気とも相俟って「瞑想」といった呼び名で一般に親しまれつつあります。最近では、googleはじめ時代を牽引する企業が、社員教育や福利厚生としてマインドフルネスといった呼び名で瞑想を率先して取り入れています。

 本来、古代の賢人や僧侶は何か特別な力やビジョンを得るために坐ったのではありません。それは非常にシンプルなものであり、「止」によって自身のとりとめ もなく動く心を静め、「観」によりその動きを観察するというものでした。そうすることで、自身の行動や意識を完全に把握することができるようになり、日常 のあらゆる行動が意識下におかれます。簡単な例えで言えば、テレビを見ながらいつの間にかスナック菓子を一袋たいらげてしまい罪悪感にひたる、というよう なことがなくなるわけです。 

 我々がなにか神がかり的な力を、坐禅や瞑想によって得ることは不可能です。また、何らかの「エネルギー」を得るといったものも非現実的です。しかし、自分自身の思考や行動を把握する助けとなることは間違いありません。 坐禅が一人でできるようになれば、わざわざこのような会に参加する必要はないでしょう。とりあえず坐ってみようかな？という方、試しに５分間坐ってみま しょう。少しづつ時間をのばし３０、４０分間坐れるようになれば、会への参加も必要なくなるかもしれません。また反対に、日頃から一人で坐っているが、た まにはグループで坐ってもいいかな、という方ももちろん歓迎です。足を組めない方には椅子坐禅を指導いたします。お気軽にお申し出ください。  

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